スピーディーにシステムの内製化を実現するためには

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スピーディーにシステムの内製化を実現するためには

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最終更新: 2023.01.13

システム開発・運用を含めた非コア業務は外部に委託し、社内リソースをできるだけコア業務に集中すること(選択と集中)が企業の競争力強化につながるという考え方があります。この考え方に従い、さまざまな業務が外部委託されるようになってきましたが、必ずしもすべてのケースで思ったようなメリットを享受できているわけではありません。その結果、再度内製化を進めようとする企業も徐々に増えてきています。本記事では内製化の基本的な知識と進める際のポイントについて解説します。

内製化とは?

内製化とは、元々非コア業務やシステム開発・運用などの業務を外部委託していたものを、自社の社員や設備などの社内リソースを使って実施するように切り替えることです。英語では「insourcing」と称され「outsourcing(外部委託)」の対義語となります。

現在、間接業務などの非コア業務やシステム開発・運用を中心に専門企業へ外部委託している企業が多くありますが、それらの外部委託が必ずしも自社にメリットをもたらすとは限りません。たとえば、国内では社内システムの設計から開発、運用、監視に至るまですべて外部のSIerなどに丸投げしてしまうケースが多く見られます。しかしそれがIT関連コスト増加や障害発生時の対処の遅れ、さらに市場変化に対する対応の遅れなどの課題を発生させる場合があります。そのことが昨今、内製化が注目されている背景にもなっています。

内製化を図る場合は、現在外部委託している上記のような業務を含む、自社で実施しているすべての業務がその検討対象となることに留意しましょう。

内製化の目的

  • 業務効率化内製化の目的のひとつは業務を効率化することです。外部委託する先は専門業者であることが多いのですが、自社の業務を熟知しているわけではありません。従って、定型的な業務は効率的にこなすことができても状況判断が必要な非定型業務が発生すると逆に効率が悪くなります。また、業務フローの改善による抜本的な効率化も外部委託では難しいでしょう。
  • 経費削減外部委託の料金体系は、一般的には月額固定費+オプション追加料金としているケースが多いのではないでしょうか。この料金体系の場合、たとえ固定費が安価でも、実際の業務では想定以上にイレギュラー処理が発生し、それが経費を押し上げることになります。内製化すればそれらをすべて社内リソースで賄うことができ、経費削減につながります。

内製化のメリット

メリット① スピーディーな対応が可能になる

内製化のメリットとして考えられるのが、まず業務のスピードアップです。対応するスケジュールや対応内容などに関しての調整を必要に応じて実施できるため、最も効率的な方法で業務を実施することができます。またその時々の業務の状況や優先度に従った対応が可能になります。
加えて、社内で完結するため業務依頼時のプロセスがシンプルになり、たとえば至急対応が必要な場合でも素早い対応ができるようになります。システム開発の場合、外注先との調整が不要になることで開発・改善のスピードが速まり、デジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに迅速に推進することができます。

情報共有や意思疎通もスムーズにいくので確認作業なども必要最低限で済みます。さらに、外注先との契約締結や内容調整の手間がなくなるのもメリットでしょう。

メリット② コスト削減

次に考えられる内製化のメリットはコスト削減です。内製化によって現在発生している外部委託費用が不要になるため、その分のコストが削減されます。外部で実施していた業務を社内に移すことになるので、それに必要な社内リソース分のコストが増える恐れがありますが、少なくとも外部委託先で発生していた利益分は還元されるはずです。
また、専門性の高い業務や特殊な業務であるほど外部委託費用が高額な場合が多いでしょう。専門性が高いために外部委託費用が高額になりやすい業務の代表格が、システム開発・運用などのIT関連業務です。そのような業務を内製化できればさらにコスト削減効果が高くなることが期待されます。

内製化後に業務のムリ・ムダを省いて効率化することができれば、さらにコストを抑えることも可能です。

作業や業務の中のムダを排除して、より価値が高いものだけをおこなえるようにやり方を変える「カイゼン活動」においても、3M=ムリ・ムダ・ムラの削減は重要とされます。内製化をより効果的なものにするために、カイゼン活動は相性のよい取り組みといえるでしょう。

メリット③ 業務ノウハウの蓄積

業務を外部委託している場合、日々の業務に加えて都度発生する課題も委託先の企業が解決してくれるため、非常にありがたい存在です。しかしその反面、対象業務に対する実践的な知識やノウハウが社内にほとんど蓄積されないという課題があります。極端な場合、外部委託してから長期間経たために対象業務に精通している者が社内からいなくなり、業務やシステム全体がブラックボックス化してしまうというリスクが存在します。内製化によって実際の業務に携わることにより、業務理解と実践的なノウハウが身に付きブラックボックス化を防ぐことができるでしょう。

同時に日々発生する課題の解決やさまざまな修正・変更に対応することで社内に業務ノウハウが蓄積されれば、中長期的な人材育成にもつながっていきます。さらに、業務ノウハウを身に付けることで業務改善のスピードも速まっていくでしょう。

メリット④ 柔軟で臨機応変な対応

外部委託している場合、依頼できる内容や方法、タイミングなどはあらかじめ決められていることがほとんどです。イレギュラーな依頼は対応できないか、もしくは対応できても大抵は調整や追加コストが必要です。内製化した場合は、イレギュラーな依頼でも業務上の条件さえ許せば対応することができます。
また、業務の内容は時間と共に少しずつでも変化していくものですが、内製化によってそれに合わせて処理方法やフローなどを常に最適化することで、効率性や品質を落とさずに柔軟に業務を遂行していくことができます。これは、市場の変化に対応して事業や業務の内容を変える場合でも臨機応変に対応でき、自社の市場における競争力を維持・強化できることを意味します。

メリット⑤ セキュリティ向上

業務を外部委託する際には、さまざまな情報を委託先などの外部に持ち出す必要がありました。しかし内製化すればそのような持ち出しの必要がなくなり、情報漏洩リスクが低減します。
個人情報は非常に大切な情報であることは言うまでもありませんが、それに加えて企業の業務情報もまた重要かつ大切な情報資産です。外部委託先に落ち度がなくても、サイバー犯罪の手口は日々巧妙になってきており、「できるだけ情報を外部に持ち出さない」ことも重要なセキュリティ対策だと言えます。今後も、サイバー攻撃の巧妙化や高度化が予想され、それに対するセキュリティ対策の重要性も増していくことが考えられます。それに伴い、今後ますますセキュリティ対策の重要性が増していくでしょう。

内製化のデメリット

デメリット① 人材育成に時間とコストがかかる

内製化のデメリットのひとつが、対象業務を任せることができる人材の育成に時間とコストがかかるということです。対象業務の経験や知識を持つ人材が社内に存在すれば、それほど負担にはならない可能性もあります。しかし、外部委託の期間が長くなるほど、そのような期待もあまりできなくなるでしょう。従って多くの場合、一から人材を育成する必要があり研修などに要する期間も必要になります。

業務内容によっては、机上研修からはじめてOJTなどのトレーニングも必要になることもあるので、戦力化には相当の期間を要することを事前に加味しておく必要があります。さらに外部研修などを利用する場合はその分のコストもかかるほか、適切な人材が社内で見つからない場合は新たに人材を採用する必要が生じるかもしれません。

デメリット② 設備投資や運用コストが必要になる

人材の準備のほかにも、業務を遂行するためのさまざまな設備や道具類が必要になり、これも内製化のデメリットと言えます。たとえばIT業務の内製化においては、パソコン端末やサーバー、ネットワークなどのハードウェア、業務管理などに必要なソフトウェアやツール類の準備が必要です。また、IT以外でも業務実施場所の準備や什器備品類、消耗品などが必要になってきます。

業務遂行のために具体的にどのような設備・道具が必要で、どの程度のコストがかかるのかは最低限把握しておくことが重要です。設備などによっては保守や運用などのランニングコストが必要になる場合もあるため注意が必要です。反対に初期投資を抑えたいのであればレンタルやSaaSタイプのシステムを選択することも検討すると良いでしょう。またこれらの業務に必要な設備やソフトウェアの準備に関しても、調達や開発に時間を要する場合があるので、事前に調達時間などを調査しておくことも必要です。

このような設備や運用コストの把握には、業務フロー図も有効です。業務フロー図を用いて、業務の一連の流れを示し、具体的に社内で運用されるデータや書類、それに関わる人・モノ・時間・場所などを把握しておくことで、内製化を検討する際にも、必要なコストや設備・人員などの情報をより漏れなく正確に整理することができるでしょう。

デメリット③ コスト意識が低くなる可能性がある

外部委託の場合は、対象業務の外部委託費用として明確に可視化されるため、コストの把握が容易でした。しかし内製化によってその把握が難しくなります。

内製化の際の対象業務に関わる実際のコストは、業務に関わる人件費や設備、道具類などの費用として計上されることになります。しかしそれらの社内費用は経理システムなどからは確認することはできますが、一般的には常にだれでもアクセス可能な情報ではありません。さらに、人件費を含めてそれらのコストをほかの業務と明確に区分できない場合も現実的には多く発生し、そうなると正確なコストの把握が難しくなります。その結果、細かなコスト管理が難しくなりコスト意識が低下してしまう恐れがあります。事前にどのような方法でコスト管理するのかを取り決めておくことが大切です。

まとめ

内製化には業務スピードや効率、コスト、セキュリティ面などでメリットがありますが、自社で実際に業務を遂行するための人材や設備・環境などの準備が必要になります。内製化は、ただやみくもに実施しても必ずしもそのメリットを享受できるとは限りません。内製化する対象をしっかりと見極めたうえで、コスト試算、人材等の確保状況の確認などを実施し、最終的に内製化すべきかどうか、また実施するとすればどのような方法が最適なのかを判断しましょう。

また、とくにIT関連業務を外部に委託している企業が多くあります。しかし近年ノーコード・ローコードシステムが増えたことにより、これまで内製化が困難と思われた分野の業務も、今では実現可能になってきています。内製化の実現にあたり、ぜひこちらの資料もご覧ください。

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